好角家の中でいつの時代も議論になる話題。

「今までで一番強い力士は誰か?」

これは正直わかりません。
その時代の対戦相手や合い口、
部屋ごとのパワーバランス。
そして何よりリアルタイムで感じた強さなどは、
数字で測れない重要な部分。
それぞれの最強力士と、その残像が瞼に残っているはずです。

しかし、「最高の横綱は誰か?」と聞かれたら、
迷うことなく貴乃花の名前を上げます。
賛否両論あるかもしれませんが、
私の中では揺るぎない理由があるからです。

その壱「文句なき成績」
優勝22回、通算794勝、幕内通算701勝。
大相撲史上最も激戦期と言われた、超重量時代に打ち立てた記録です。
横綱昇進以外の最年少記録は、今も多く貴乃花が持っています。
そして何より特筆すべきことは、この優勝や勝利に対し、
誰もがケチをつけていないこと。
相撲界で長く言われる「八百長」や「互助会」の存在。
歴代多くの横綱の周りで、噂の煙が立っては消えてきました。
しかし、貴乃花の周りで黒い噂が立ったのをこれまで聞いたことがありません。
正真正銘のガチンコ横綱と言われ続けています。
貴乃花は現役の若い時分からよく言ってました、
「そんなに長く続けられるものではない。」
魂を削りながら土俵に上がり続けました。

その弐「静かなる強さ」
全盛期の貴乃花の強さ。それは圧倒するような相撲ではありませんでした。
相手の立ち合いを正面から受け止め、攻めさせる。
しかし気が付くと相手は土俵際に追い詰められ、ついには土俵を割る。
最後も土俵下にも落ちず、一歩だけ外に出る。壊れ物を扱うような勝ち方でした。
やくみつる氏曰く「最強の寄り身」だそうです。
以前、貴乃花親方が、「横綱とは?」の問いに、
「知らぬ間に相手が負けてしまう」「包容力」と答えていましたが、
まさにそれを絵に描いたような勝ち方でした。

その参「歩み続けた横綱道」
貴乃花にとって、横綱道即之人生(生きざま)ではないでしょうか?
そして何よりこれこそが、貴乃花が最高たる所以だと思っています。

白鵬は、勝利数や優勝回数などの数字をモチベーションとし、
記録にこだわり土俵に上がり続けています。
歴代の横綱も負けられない地位で、懸命に優勝を目指し、
強さを誇示してきたと思います。
しかし貴乃花の現役中、「必ず勝たなければいけない」
「〇勝したい」「優勝目指す」「誰々には負けられない」などという、
数字や、勝利を意識したコメントを聞いたことがありません。
「何かが残るように」や「精一杯やれたことが何より大事」など、
相撲に欠ける姿勢を重視するコメントに終始していました。
力士は24時間力士であり、横綱は人生をかけて横綱。
土俵の「稽古」だけでなく、日々の「鍛錬」の重要性を
今も口にする貴乃花は、なお横綱道を歩んでいるのです。
だからこそ提出したのが、「引退届」なのではないでしょうか?

横綱貴乃花と同じ時代を生きれたことに感謝し、
「貴」を継いだ若者たちに、幸せと栄光があることを祈っています。

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